私は、今回のインターンシップに参加させていただいて初めて、岡山市が文学の街であるということを知った。私は現在、愛媛県松山市に住んでいる。松山市は町中に句碑が立っていたり、市民の俳句や川柳が飾られてあったりするので、文学の街といえば松山であると思いこんでいた。しかし、地元岡山にも自分が知らないだけで文学に深い縁があり、街中に散りばめられているということがわかった。研修中に岡山市にある、文学と関わりの深い場所が示された地図を見て、その数の多さに圧倒された。普段何気なく歩いている街にもかつては著名な文学者との関わりがあり、現代まで愛される素晴らしい作品に繋がっていたのだと考えると、地元への愛着がより一層湧いた。
実際に現地を見に行くとき、自分でも知っている文学者の場所に行きたいと考え、松尾芭蕉の句碑を見に行くことにした。句碑があると思割れる場所に着いたが、残念ながらそれらしいものを見つけることはできなかった。お寺の中にあった説明には、空襲によって句碑はわずかしか残らなかったとの記述があり、芭蕉のものとの関連性はわからないが、戦争は全てを奪ってしまう恐ろしいものであるということを再認識させられた。加えて、戦争に反対することは文学を守ることにも繋がるのではないかと考えた。
気を取り直し、私は与謝野鉄幹の所縁の地へ赴くことにした。到着したとき辺りを見渡すと寺院が多い場所であった。現在ではビルの中に埋まってしまっているが、鉄幹が生きていた十九世紀から二十世紀にはさぞ荘厳な雰囲気が漂っていたのではないかということが想像できた。
その後、桃太郎大通りに向かって少し歩くと、吉行淳之介に関する案内板を見つけた。知識不足ゆえに吉行氏の作品を読んだことがないどころか、名前すらも初めて知ったが、これを機に何か一冊でも読んでみたいと思った。普段本をあまり読まない人でも、地元の作家なら読んでみたいと思うこともあるのではないかと考えるので、街中により多くの案内板を設置すればたくさんの人が文学に興味を持てるのではないか。
たくさんの文学を感じ、市役所へ帰るときに、西川緑道公園沿いを歩いた。そこには文学者に関するものは見あたらなかったが、政治家などの方々の詩や平和に関する文章が多く見受けられた。これらも、街中にある文学であるといえると思うので、やはり岡山市は文学の街であるということをこの体験を通して実感することができた。
岡山の文学を体感した後、岡山市が行っている文学に関する事業についてのお話を聞いた。そこで分かったことは、岡山市は過去の文学を大切にしているだけでなく、未来の文学を市民も巻きこみながら作りあげていく事業を多く行われているということだ。文学は仮になくなってしまったとしても市民の命に関わらないものである。しかし、文学によって人々の心を豊かにすることは社会において欠かせないことだと思うので、単なる数字にとらわれず日々奮闘されている職員の方々の活動を知り、市民として行政の情報を集め、様々な活動に参加してみたいと感じた。
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