私たちは、それぞれ異なった環境に生まれ育ち、さまざまな仕事に就き、生活を営んでいます。そして、お互いに幸せで豊かな社会を築こうと努力しています。これらのことを日本国憲法は「基本的人権」という誰にも侵されない普遍の権利として、すべての国民に保障しています。しかし、私たちの周りには、この「基本的人権」が不当に侵されている多くの事実があります。
同和問題は、同じ日本国民でありながら、被差別部落の出身であるというだけで、就職や結婚などの面で差別を受けるという日本固有の人権問題です。この問題は、日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分的差別による差別意識が、現代社会にいまだ残っているために起きています。解決に向けた努力が長い間なされていますが、今なお存在するとともに、情報化の進展に伴って状況の変化が生じています。
令和5年7月から8月にかけて岡山市が行った「人権問題に関する市民意識調査」によると、同和問題の認知度については、「どんな人権問題かだいたい知っている」との回答が38.8%と最も高く、次いで「そういう人権問題があると聞いたことがある」(26.0%)、「歴史的経緯から知っている」(14.6%)などの順となり、「知っている」「聞いたことがある」と答えた人の合計は、79.4%という結果になりました。
「知っている」「聞いたことがある」と答えた人に、知ったきっかけを聞いたところ、「学校の授業で教わった」との回答が33.5%と最も高く、次いで「家族(祖父母、父母、兄弟姉妹等)から聞いた(33.2%)、「同和問題は知っているがきっかけは覚えていない」(10.3%)、「テレビ・ラジオ・新聞・本等で知った」(8.1%)などの順となっています。
また、現在起きている人権問題については、「結婚問題で周囲の反対を受けること」との回答が55.1%と最も高く、次いで「身元調査をされること」(32.0%)、「交際に際し周囲の反対を受けること」(25.1%)、「差別的な言動をされること」(24.3%)などの順となっています。
さらに、同和問題解決のために必要なことについては、「人権教育・啓発広報活動を推進する」との回答が39.2%、「えせ同和行為を排除する」との回答が33.6%と高い一方で、「特別なことをする必要はなく、自然になくなっていくのを待つ」との回答も25.0%となっています。
これらのことから、同和問題については、結婚問題などで差別意識が見られるなど、差別意識の解消が課題です。今後とも、国、県、関係機関・団体と連携して同和問題の解決に向けて取組等を進めます。
これまでの差別解消の取り組みによって、生活環境などにみられた実態的な較差は概ね解消され、また、以前と比べて私たちの意識も変わってきました。しかし、本当に被差別部落や被差別部落の人たちに対する偏見や差別はもうなくなったと言うことができるでしょうか?結婚など人生の大きな節目や、インターネットのように匿名で発言に責任を持たなくてもよい場面などでは、差別意識が表に現れてくることはありませんか?
部落差別は過去の問題ではありません。現在も存在している人権問題です。私たち一人ひとりがそのことを十分に認識し、差別解消に向けて取り組んでゆく必要があるのではないでしょうか。
平成28年12月16日に「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」が施行されました。
この法律は、全ての国民に基本的人権を保障する日本国憲法の理念にのっとり、「部落差別は許されないものである」との認識の下に、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現することを目的としています。
今後、部落差別は、この法律を基に解決を図っていくことになりました。
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