「岡山でのSDGs(持続可能な開発目標)の取組みを共有し、17の目標の達成に貢献しよう。」
「SDGs。聞いたことはあるけど、どういうことかよくわからない。」
「何かしてみたいとは思うが、具体的にどのような行動をすれば良いかわからない。」
SDGsについて、さまざまな思いをもった約300名の方にご参加いただいたのが、2019年2月17日(日曜日)、岡山国際交流センターで開催された「おかやま協働のまちづくり賞表彰式&SDGsフォーラムin岡山2019」です。
この日は、「第3回おかやま協働のまちづくり賞」において、大賞・入賞・奨励賞を受賞された計9団体の表彰式を皮切りに、SDGsに精通した講師による基調講演、岡山でSDGsに取組む産官学民のパネリストによるパネルディスカッション、SDGsの目標別にテーマを設けた3つの分科会、全体のまとめ、と盛りだくさんの内容で進行しました。会場には、若い世代からご高齢の方まで、世代を超えてエネルギーに満ちたたくさんの方にお越しいただきました。
第3回おかやま協働のまちづくり賞は、「やりがいと豊かな暮らし」をテーマに応募取組を募集しました。インターネット投票と協働推進委員会による審査を経て、受賞取組が決定しました。
第3回のテーマ「やりがいと豊かな暮らし」は、
SDGs目標8:働きがいも経済成長も/SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを
を軸に、すべての市民が仕事などにやりがいを感じ、社会の一員として活躍できる取組に焦点をあてたものです。
表彰式では、大森市長より、大賞1取組・入賞4取組・奨励賞4取組に、表彰状や一般社団法人橋本財団様の協賛によるトロフィーが贈られました。それぞれの団体の思いあふれる取組を、会場一体となって称え合いました。
受賞団体と参加者のみなさん
枝廣淳子さん
基調講演では、大学院大学至善館教授の枝廣淳子さんよりご講演いただきました。
「SDGsで岡山市の持続可能な地域社会を実現する~SDGs先進地域に学ぶ、まちづくりのプロセスとパートナーシップ」をタイトルに、SDGs先進地域の事例から「折れない地域づくり」のヒント、具体的なチェックリストとしてのSDGsについて学びました。SDGsに取組む主体は行政や市民活動団体に限らず、企業も重要な担い手であることもお話しされました。
”だれひとり取り残さない”岡山市の持続可能な地域社会の実現のために、SDGs全体に関わる目標17(パートナーシップで目的を達成しよう)に多様なセクターが協働して取組む必要性を改めて感じました。
こうした枝廣さんのお話を受け、パネルディスカッションではセクターの異なる4名の方にご登壇いただき、それぞれの立場からSDGsの目標達成とされる2030年に向けたビジョンや実践を共有いただきました。
パネリスト(50音順)
江田さんからは「未来へ躍動する岡山市の取組―SDGs達成に向けて―」として、岡山市におけるこれまでのESD推進の取組、それらを基盤としたSDGs未来都市としての重点事業などについてお話しいただきました。特に、SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を、に力を入れており「誰もが健康で学び合い生涯活躍するまちおかやまの推進」を重視しています。
岡山NPOセンターの石原さんからは、NPO同士の連携、NPOと行政や企業との連携など、多様な主体との協働にチャレンジしていることが紹介されました。災害発生時には災害支援ネットワークおかやまを立ち上げ現在も取組を継続しているほか、SDGsネットワークおかやまの立ち上げも行い、SDGs達成に向けた動きを進めています。
横井さんからは「世界と地域に新たな価値を創造しつづけるSDGs推進大学-SDGsに貢献する岡山大学の取組-」をタイトルに、岡山大学におけるSDGsの取組をお話しいただきました。大学における活動実績や行動指針などが紹介され、第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞した唯一の国公立大学として、SDGs達成に向けた役割を担います。
経済界におけるSDGsの取組は、岡山経済同友会の藤木さんよりご紹介いただきました。持続可能な社会の実現に向けて、経済界においてもSDGsが重視されていることや、企業がSDGsに取組むことの重要性を示していただきました。企業の取組を拡げ、SDGsの達成を進めるべく経済界からもアプローチを進めます。
産官学民それぞれが役割分担をしつつも適宜連携・協働することで、持続可能な岡山の実現を目指します。
パネルディスカッションの様子
分科会は3つのテーマに分かれて行いました。
ファシリテーター:高平 亮(ESD・市民協働推進センター センター長)
分科会3では、おかやま協働のまちづくり賞テーマ「やりがいと豊かな暮らし」の大賞・入賞取組の事例発表を行いました。各団体より取組の発表
発表された取組は、次の5つです。
それぞれの取組内容を発表いただいたうえで、ファシリテーターより、協働のまちづくり賞のテーマはSDGsの8と11に関連するものだが、これからSDGsの達成に向けてどのようなことが最も必要だと思うか?という問いかけが発表団体にされました。
岡山市北区京山地区ESD推進協議会 江國 敏行さん
普及・啓発に力を入れ、たくさんの人に関わってもらうこと。
自分たちにできることを考えて、とにかくやってみること。NPO法人ひよこ子ども食堂 林 正則さん
イベント的なものとして終始せず、日常的な場づくりをすること。
NPO法人岡山ニャンとかし隊 廣畑 佐知子さん
地域の人が「一緒に参加する」という意識をもち、地域と一緒に盛り上がること。
よつばの会 松田 浩明さん
焦らず慌てず諦めず、人を育て、話し合いながら次世代に継承すること。
助け合うお母さんの会 枝廣 真祐子さん
「ありがとう」の言葉がけを少し多めに行って、ひとりではなくみんなで担うこと。
などさまざまな意見があがりました。
「普及・啓発」「目標を立てる」「行動する」「お互いを知る」など、具体的に行動するための視点も重要なものですが、やはり根底にある「思いやりの心、焦らない、次世代への継承」なども同じように大切だと改めて気付かされました。
その他、2つの分科会は、以下の内容で行いました。
ファシリテーター:浜田 淳さん(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授)
分科会1は、「SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を」を切り口に、SDGs未来都市として岡山市が推進する「誰もが健康で学び合い生涯活躍するまちおかやま」の実現に向けて、多様な主体の協働で進める健康づくりの事業やアイデアについて話し合いました。ファシリテーター:原 明子さん(ESDコーディネーター)
分科会2のテーマは、「SDGs目標4:質の高い教育をみんなに」が中心です。2005年からESDを推進してきた岡山地域ですが、教育にアクセスできない人たちも多くいらっしゃいます。質の高い教育をみんなが受けられる社会にするために大切なことを、登壇者の話を聞きみんなで考えました。
それぞれの分科会を終えて、1日のまとめのため、参加者は再び2階の国際会議場に集まりました。分科会でファシリテーターを務めた3名と枝廣さんが登壇し、分科会の進行やそこであがった意見などを共有し、枝廣さんのまとめにより締めくくられました。
多様な年代、主体の人が集まり、会場は熱気に包まれ互いに学び合う、実り多い1日となりました。
協働のまちづくり賞は、来年度もテーマを変えて、優れた協働の取組に光を当てていきます。