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−第16回(昭和59年度)− |
真夏の 午後の庭に立っていた 寂寥は四囲を包み 身動きできなかった 常に存在しないものを 追いかけてきたようだ 歳月は結晶化を進めるだけで 代価されることがなかった 切札を遣わない 無償の愛を 夢の中の光芒で 手探りし濁望した 女は 絶望と惑いの暗闇を抜け 生を得たとき 業を背負う 時が移り 浄化されても 薄墨色の紗は折り重って 行手を翳す 求め続ける 幻影は 後退りしながら 支配する |
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