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−第22回(平成2年度)− |
白いあの大きな、母のエプロンがほしい。 幼ない日、悲しかった時、悔しかった時、 走って行き、エプロンに顔を埋めて、 思い切り泣けば、それでよかった。 白い大きなエプロン姿は、 探せば、いつも家のどこかにあった。 朝早くから、夜遅くまで 白いエプロンは動いていた。 今、悲しくなった時、いくら探しても、 もう、あの白いエプロンは、どこにも無い。 顔を埋めて、泣くだけでいい。 唯、それだけでいい。 でも、あの白い大きなエプロンはもう無い。 涙ぐむ目に、はるかかなたの空に、 あの、白いエプロンが浮ぶ。 幼ない日の、あの母の、 白い大きなエプロンがほしい。 |
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