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−第26回(平成6年度)− |
君は越えた 4メートル20のバーを どよめき・歓声・拍手 初夏の風が吹き抜ける 陸上競技場の空に しなやかで強靭な 君の肉体が舞う 高校総体棒高跳びの部 すでに優勝の決まった君が 自己の記録へ挑戦するという アナウンスが 何度も何度も 広い競技場に響き渡る しかし 君は顔色ひとつ変えず ただ前方のバーを見るのみ 4メートル30の未来 音のない世界に生きる君に 私の声援は届かないかもしれないが この祈りだけは届いてほしい こつこつと積み上げてきた 修練という名のポールを握り いじらしいまでに真摯な姿勢で 君は跳び続けるのだ 明日に向かって まっすぐにバーを睨み 今まさに駆け出さんとす 岡山聾学校陸上部の 若きエースジャンパーよ 君なら超えられるだろう 4メートル30の未来も その先に広がる 可能性という名の将来も |
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