岡山市山神にある。備前一宮である吉備津彦神社の南側の集落内で、吉備中山の山裾部に位置する。集落の一角に「神力地蔵」といわれる地蔵がまつられており、その基礎に用いられているのが当廃寺の礎石の1つと推測されている。
寺域や伽藍配置は不明であるが、白鳳時代の軒丸瓦、瓦塔、二彩の小陶塔などが採集されている。とくに多彩の小陶塔は奈良・東大寺正倉院にしか残されておらず、極めて珍しいものである。
吉備中山周辺には、兵庫県産の竜山石製の石棺が県下で最も集中する場所であり、当廃寺建立以前から畿内と密接な関係があったといえる。おそらく、吉備の有力豪族であった三野氏の氏寺と推測される。
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JR「一宮駅」下車、徒歩10分。 |
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間壁忠彦・間壁葭子『岡山県の遺跡めぐり』(株)日本文教出版 1970年
出宮徳尚ほか「集成17瓦当文」『吉備の考古学的研究』山陽新聞社 1992年 |
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