岡山市富原にある。笹ヶ瀬川西岸の小盆地に位置し、盆地南端を東西に通る旧山陽道沿いの北側にある。富原北廃寺は荒神廃寺ともいわれ、多数の瓦が出土し、礎石もみつかっている。現在、寺地はブドウの温室となっており、寺域や伽藍配置は不明である。
当廃寺は、旧津高郡域も勢力下にあったと考えられている吉備の有力豪族である三野氏の氏寺であった可能性が高い。なお当廃寺の系譜を引く軒丸瓦が、旧三野郡域でも数ヶ所で出土している。
富原遺跡は、かつて富原南廃寺・才ノ木廃寺と呼ばれていたものであるが、最近は津高駅家、もしくは津高郡衙(役所)と考えられている。遺跡は温室や住宅地となっており、現況ではその範囲もよくわからない。奈良・川原寺や平城宮と共通する文様の軒丸瓦が採集されており、西側丘陵上には瓦窯も確認されている。
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岡電バス「笹ヶ瀬」下車、西へ徒歩20分。 |
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伊藤晃「富原北廃寺・富原遺跡」『岡山県史』考古資料 1986年
高橋伸二「富原遺跡採集の瓦」『岡山市埋蔵文化財センター年報1 2000(平成12)年度』 2002年 |
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