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本堂 |
正しくは、銘金山観音寺遍照院といい、天宝・勝宝元年(749)に報恩大師が勅命によって建立したといわれる。報恩大師が備前国で開いた四十八ヶ寺の一つである。延久元年(1069)・治承二年(1178)に火災などによって寺運が衰退した頃に栄西が来山し、法相宗から天台宗に改めて中興したという。しかし、文亀年間(1501〜1504)に金川城主であった松田氏により、日蓮宗への改宗を迫られ、これを拒否したため焼き討ちにあい壊滅的な打撃を受けた。後に永禄十一年(1568)頃、大山寺から円智(後の豪円)が来山、宇喜多直家の援助を受けて、天正二、三年(1574、1575)に再興をすすめたという。そして、文禄期においては宇喜多秀家の寺社政策のなかで、領内の寺社を総括する位置を占めるようになった。しかし、江戸時代にはいると池田光政による寺院淘汰によって金山寺の権限は、金山寺の末社だけに限定されるようになった。ただし、地方寺院としての地位は不動であり、現在も山上伽藍が遺存し、極めて貴重な文化財が数多い。
本堂(国指定文化財)
天正三年(1575)の再建で、桁行五間、梁間六間、一重の入母屋造、本瓦葺である。正面に一間の向拝をつけてある。内部は前面二間通と両側一間通が外陣、内側三間が内陣である。内部の柱は金箔押しで、本尊千手観音を安置している。外観は室町期的な地味さが目立つが、内部は桃山文化の絢爛さがあり、両期の過渡的様相を示している。
護摩堂(県指定重要文化財)
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護摩堂 |
本堂と同じく天正三年(1575)の再建である。桁行三間、梁間三間、一重の入母屋造の本瓦葺で、前面にだけ縁を設け、一間の向拝がつく。向拝正面の蟇股には正面に牡丹、背面に菊を刻んでいる。内部の仏壇中央には漆塗りの厨子を置き、本尊不動明王を安置している。厨子には美しい装飾が施されている。室の中央には護摩壇を置き、その上だけ天井を高く張っている。
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護摩堂(参考文献より引用) |
三重塔(県指定重要文化財)
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三重塔 |
天明八年(1788)の建立で、三間三重の塔婆である。本瓦葺で初重塔内は彩色されており、中央四天柱内の須弥壇上に大日如来像を安置している。
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三重塔(参考文献より引用) |
山門(仁王門)(市指定重要文化財)
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山門 |
正保二年(1645)に再建された三間一戸の楼門である。屋根は入母屋造の本瓦葺で、中央の間を通路とし、その両脇の間に金剛垣を設けて金剛力士を安置している。
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山門(参考文献より引用) |
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位置 |
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宇野バス「金山口」下車、徒歩50分 |
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巌津政右衛門『岡山の建築』日本文教出版株式会社 1967年
岡山県教育委員会『岡山県の近世社寺建築』 1978年 |
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