2015年11月19日(木曜日)に、2015年度第7回ESDカフェ「難病を生きる~障害を乗り越え、今できること~」が開催されました。ゲストは、難病総合支援ネットワーク別ウィンドウで開く代表の中嶋嘉靖さん。ご自身の経験や、患者さんを支えるネットワークづくりの活動などについてお話を伺い、病気や障がいのある人も活き活きと暮らせる地域づくりについて話し合いました。
中嶋さんは、2004年5月、突然それまでに感じたことのない胸の痛みと発汗・嘔吐・呼吸の乱れにおそわれ、かかりつけの病院に行くと不整脈と診断され、12月には、植込み型除細動器(ICD)を体内に入れる手術を受けました。さらに、半年後、筋肉に違和感を覚え、検査をすると国内に一人しかいない「ミオパチー」(筋肉の病気)と診断されたそうです。
闘病中に、SNSで自身の病状について記録を発信していたところ、難病支援の患者会(遠位型ミオパチー患者会別ウィンドウで開く)が国に支援を求める署名活動への協力依頼を受けました。知人に署名への協力を求めたり、医療機器の展示会やコンサートの会場などで署名活動を行ったりしました。これらの活動を通して、他の患者さんも医療費助成や難病に関する情報を求めていることを知り、2012年3月に自ら患者会を設立。現在は、「難病総合支援ネットワーク」として活動し、患者さんやご家族が悩みを共有し、情報交換しながら支え合うネットワークづくりを行っています。
難病の患者さんやご家族は、同じ病気の患者さんの友達が欲しい、患者さん同士で交流したい、病気の知識をつけたい、講演会やセミナーなどのイベントを知りたい、国の難病に関する制度や取り組みについて知りたい、職場での理解について相談したい、修学や進路についての相談をしたいなど、様々な悩みや思いを持っています。しかし、患者数が少ないため、相談する場や機会が少なく、情報の集まる場所がありません。そこで、難病総合支援ネットワークでは、3か月に1回難病患者サロンを開催するほか、難病についての理解を広めるためにイベントの開催やFaceBook別ウィンドウで開くやウェブサイト別ウィンドウで開くによる情報発信などを行っています。
「ESDに関するユネスコ世界会議」サイドイベント出展の様子(前列左が中嶋さん)
2014年11月8日(土曜日)には岡山市で開催された「ESDに関するユネスコ世界会議」のサイドイベントにも出展したほか、「世界希少・難治性疾患の日別ウィンドウで開く」※に合わせて、2015年2月28日(日曜日)には、難病総合支援ネットワークが岡山で初めて難病に関する大規模な交流会を主催しました。難病の子どもたちに学習の機会を提供するNPOや、来館が困難な子どもたちを援助する図書館の取り組み、障害年金手続き、難病の新制度の説明など、様々な視点から情報共有や情報交換を行いました。
中嶋さんは難病の患者さんが安心して安定した生活ができることを目指し、患者さんや行政、医療機関などと協力しながら活動を続けています。
2014年に、岡山県で登録されている指定難病患者数は1万6,000名以上。岡山市内には支援学校が5校ある他、院内学級を設置している病院もあります。心や体に障害のある人々の施設数としては、全国的にも恵まれているとのことです。しかし、施設が整っている反面、難病や障がいのある人々と健常者とが接する機会が少なく、健常者は、患者さんたちが送っている日常について知りません。
大切なのは、「誰もが難病を考え、学び、理解して行動を継続していくこと」と語る中嶋さん。
難病患者や障害者と健常者といった壁がなくなり、みんなが支え合って生きる未来をつくるためには、一人ひとりが理解と思いやりを持ち、互いに認め合いながら、協力の輪を広げていくことが大切ではないでしょうか。岡山市市民協働局ESD推進課 小西・流尾
電話:086-803-1351
電子メールアドレス:miki_konishi@city.okayama.lg.jp