おかやまエコマインドネットワーク理事の赤井藤子さんから、食品ロスの現状について、お話がありました。世界において日本はどうなのか、日本全体でどのような現状になっているのか、そして岡山市では?毎日買い物をする私達がどのように変わればよいのかについて、お話いただきました。また、岡山大学環境理工学部にてエシカル消費について学んでおられた高川晴名さんは、アンケート結果から「エシカル消費の理解」や「行動」等の相関関係を可視化し、そこから分析できること等についてお話をしてくださいました。
まずは、赤井さんから日本や岡山地域の現状についてお話がありました。
日本は、食糧自給率が低いにもかかわらず食品廃棄量も多く、購入して捨てているという状態です。食品を廃棄するということは、食品そのものを無駄にしてしまっていることももちろんですが、生産、保管、運搬、廃棄全ての過程でCO2を排出しており、その食品に関わったエネルギーも無駄に消費したこととなります。
安全に食べられる期限の消費期限とおいしく食べられる目安の賞味期限という言葉の意味の違いをしっかり理解して買い物するだけで、家庭からの廃棄量は変化するはずです。また、直接廃棄という、未開封のまま消費期限を過ぎて捨てる食品の量が多いことに注目してもらいたいです。岡山市民1人当たり1日お茶碗半分を廃棄しており、岡山市の食品ロス全体のうち、直接廃棄の占める割合は28%にも上っています。
「おかやまエコマインドネットワーク」は1999年に立ち上がった団体であり25年を迎えました。岡山県にエコマインドの輪を広げることを目指し、食品ロス問題以外にも地球温暖化問題、待機電力、生物多様性、無農薬野菜の栽培農家の紹介等も行っています。
2016年頃から食品ロス削減の問題に着目し取組を始め、シンポジウムや映画の上映会、ワークショップを開催しております。また、家庭で使わない品物や商店などで様々な事情から残った食品を持ち寄って「エコマインドマルシェ」という活動も行っています。
さらに、食品ロスに関する子供向けの啓発動画も作成し、貸し出しをしているためご活用いただきたいです。
食育アドバイザーとしても活動する中で自身が大切にしていることは、「農業や漁業など生産の現場を知り、生産者の声を聞く必要がある。」ということです。また、食べ物は自然からの贈り物であり、動植物から命をいただいていることを忘れないことも意識しています。食べ物に感謝すると、捨てることへの罪悪感が生まれ、消費活動が変わっていくという考えのもと活動しています。
続いて、高川さんから岡山大学にて研究していたエシカル消費について、お話をいただきました。
エシカル消費とは、地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことです。SDGsの17のゴールのうち、「12 つくる責任、つかう責任」に関連しています。しかし、12番だけではなく、様々なゴールについても包括的に関連しています。
定義の中にある「人・社会・地域・環境」ごとに、エシカル消費の具体例について説明すると、まず「人」に配慮した消費行動としては、フェアトレード商品購入が挙げられます。フェアトレードとは、開発途上国の生産地において作られた生産物を適切な価格で継続的に購入する貿易のことであり、商品購入によって開発途上国の児童労働防止や貧困解決等につながります。次に、「社会」の面から考えると、被災地産の商品、寄付付商品の購入などが当たります。復興を支援したい、誰かの活動を応援したいという意識で消費活動することで、他者の活動を支援することができます。3つめの「地域」に配慮した消費行動とは、よく知られている地産地消の取組があります。これによって、地域経済活性化や地域の雇用創出、また、運搬コストやCO2排出の削減が期待できます。最後に「環境」。具体的には、脱プラスチック意識を持って買い物をする等があります。プラスチック製品の購入を控える。エコバックを使用する。これらによって、海洋プラスチックの削減にも繋がるだけでなく、使用後の焼却処理による温室効果ガス削減にもつながると考えられえています。
パルシステム生活協同組合連合会(*1)を対象にアンケートを実施し、アンケートの回答に「ベイジアンネットワーク(*2)」の手法を活用して分析しました。すると、エシカル消費行動の要因関連の全体像を解明することができ、それによって、高い啓発効果が期待される要因を特定しました。例示すると、「エシカル消費」の意味を理解している人は、「エシカル消費」を実践している割合が高いことを解明。当たり前だと思う人もいるかもしれませんが、数字として表れたことに大きな意味があります。
*1 各都県で活動する地域生協とパルシステム共済生活協同組合連合会が加入する連合会組織
*2 データの因果関係を分析する手法の1つで、因果関係の強さを、ある事象が起こった場合に他の事象が起こる確率である「条件付き確率」の大きさから判断し、多数の事象間の因果関係をグラフィカルに整理する方法。令和4年度ユース活動支援助成金を活用し、廃棄物資源循環学会に参加しました。ポスター発表を行ったことで、様々な視点から質問・意見をいただき、その後の研究の参考になりました。また、会場であった宮崎大学の地元企業である霧島酒造株式会社も登壇した、講演およびパネルディスカッションも聴講しました。焼酎に関する話を交えた持続可能な社会に関するテーマであったため、身近なものと研究が繋がり、研究の面白さを感じることができました。自身の在籍していた岡山大学松井先生の研究室では、研究の一環として、岡山食品ロス削減プロジェクト「のこり福キャンペーン」を開催しています。2022年より、食品ロス削減月間の10月限定で開催し、スーパーの食品(特に総菜)売場をライブ中継し、割引商品の情報を発信するアプリを配信しています。エシカル消費にも該当する「消費期限の近い割引商品の購入」や「てまえどり」を促進するものであり、ご活用いただければ幸いです。
エシカル消費の理解は行動に繋がる。これは、私が研究から得た考えです。身近な方達に、エシカル消費に関するお話を広めていただけると嬉しいです。
カフェの最後に、食品ロス削減川柳を一句または、私の食品ロス削減宣言を作り、参加者それぞれの思いを共有しました。「片栗粉 気づけば我が家に3個ある」「最後まで 使おう食べよう買ったもの」など、参加者のアイディアが飛び交い、今日から気を付けることを確認し合いました。
この活動に、岡山ESDプロジェクト ユース活動支援助成金が活用されているよ!
岡山ESD推進協議会では、ユース・人材育成を重点取組の一つとして、35歳以下のユース世代の人材育成に力を入れているんだ。詳しくは、ホームページを確認してね。