のっぷ:初めまして、「つながる協働ひろば」ののっぷです。エネミラさんは自然エネルギーの普及の活動をしているんですよね。活動のはじまりは何がきっかけだったんですか?
廣本さん:主婦だった私は1997年に開催されたCOP3(地球温暖化防止京都会議)の報道を見て、温暖化が子どもたちの未来に大変な影響を及ぼすのではないかという危機感を持ちました。そこで、まずは地域でできることから取り組もうと、主婦の仲間たちと活動を始めたんです。
代表の廣本さん
私たちの身の回りには太陽の光や熱、風、水、木、生ごみなど、自然エネルギーとして活用できる資源がたくさんあります。温室効果ガス削減のカギを握るのは「自然エネルギー」だと感じた私たちは、1年間その普及・活用方法について色々と勉強しました。そして、そろそろ何か実行に移さなければと考えているとき、全国に「市民共同発電所」の取組があるのを知ったんです。ちょうどその頃、岡⼭市から「新エネルギービジョン策定委員会」の委員を委嘱され、「市⺠共同発電所」の計画を相談すると快諾してくださり、とんとん拍⼦に話が進みました。社会に認められる団体になるためNPO法人の認証を受けたのも、そのタイミングです。
のっぷ:先ほど出てきた「市民共同発電所」って何でしょうか?
廣本さん:行政・企業・個人など地域に関わる人々による、「自然エネルギーを広めていく」という合意形成のもと設置する発電所のことです。公共施設に設置することで、地域の方が自然エネルギーについて知る機会を作ることができます。地道ですが、自然エネルギーの必要性を広めるきっかけを増やせれば、という思いで、「市民共同発電所」という形を選択しました。
私たちが最初に設置したのは、中山保育園(現在の中山認定こども園、岡山市北区一宮)の太陽光発電パネルと太陽熱温水器でした。当時(2002年)は太陽光発電が今ほど一般的ではなかったし、市民共同発電への説明も不十分であったことから理解を得ることに時間がかかりました。最終的には、私たちの理念を書いたチラシを地域のお宅に1軒ずつ配布することで知っていただけました。
岡輝公民館の太陽光発電
その経験から、地域の皆さんと連携して事業を進めることの大切さを実感し、それ以降、発電所設置にあたってはまず地域の方にお話をしたり、チラシをお配りしたりして、ご理解をいただくようにしています。
2018年1月現在で、太陽光発電による発電所を岡山市内の施設に9基、他自治体も合わせると11基設置することができました。発電量は、家庭の電気代にして約60軒分くらいです。のっぷ:地域の人たちにとって身近な公共施設に設置することで、自然エネルギーを活用する取組の啓発になるんですね。他にはどんな活動をしていますか?
廣本さん:子どもたちへの普及啓発活動ですね。最初は大人向けの講座を開催していたのですが、その活動の中で、自然エネルギーを浸透させるためには、やはり小さい頃からの環境教育が大切だと感じ、2005年に岡山県の事業として小学校への普及啓発プログラムを作りました。プログラムは「自然エネルギー体験キャラバン」と「こどもエコライフチャレンジ」の2種類があり、これは今でも続いています。
のっぷ:それぞれ、どんなことを学ぶんですか?
延藤さん:「自然エネルギー体験キャラバン」では、最初に「自然エネルギーとは」「今の地球の状態は」という講義をします。その後、子どもたちにエネルギーを体感してもらうため、様々な体験をしてもらいます。例えば、風力発電や水力発電の模型を使ったり、自転車をこいだら電気エネルギーが取り出せる機械を使って、自分の体力が電気エネルギーに変わるという「自転車発電」を行ったり、夏にはその電気を使ってかき氷を作ったりもするんです。
副代表の延藤さん
インターンシップがきっかけで正式メンバーに
廣本さん:「こどもエコライフチャレンジ」は、夏休みや冬休みにエコライフに挑戦してもらおうというプログラムです。休み前に家庭でできるエコな取組について考え、休み中にそれを実践し、さらに休み明け、振り返りの授業を行うんです。複数回授業をすることで、子どもたちに「エコライフ」を定着させることができます。私たちも、授業を受けて子どもたちが何を感じたのか、次回の授業でその反応を見ることができるので勉強になりますね。
自然エネルギー体験の様子
小学校での授業の様子
のっぷ:NPO法人からさらに多くの審査基準がある認定NPO法人になっていますね。岡山県下では第1号だとか?
廣本さん:それまで岡山県には認定NPO法人がひとつもなかったので、公共的な活動が中心のエネミラは期待される存在だったようです。
のっぷ:認定NPO法人になって、それまでと何か変わりましたか?
廣本さん:認定を取ったことによる⼀番⼤きな変化は、行政からの信頼度が上がったことですね。行政と協働で活動することが多いので、厳しい審査を通ったNPO法人だから信頼できると思ってもらえたのでしょう。市民の方も、税制優遇の制度を知っている方は寄付をしてくださいました。
のっぷ:最後に、今後の活動を教えてください。
延藤さん:自然エネルギーをもっと普及させていきたいですね。「こんな発電方法があるんだ、こんな考え方があるんだ」ということを、より多くの人に知ってもらえたらと思います。この数十年で科学技術は大幅に進歩しました。それによって二酸化炭素を多く排出することになった。今後は搬出量を抑える方の研究も進んで技術も進歩していくと思うので、そういうことも期待をしています。
廣本さん:普段、電気を使っていても、「発電所で二酸化炭素を出している」なんて意識していませんよね。私たちも活動をするまでそうでした。だからこそ、関心を持ってもらえるよう、積極的に働きかけていきたいと思います。みんなが「地域を持続可能なものにしていく」という意識を少しでも持てば、地球を守っていくことはできると思うんです。
エネミラの皆さんと
子どもたちに安全・安心な未来を残すために、地球温暖化防止、自然エネルギーの普及に取り組み続けているエネミラさん。私たちの活動が必要なくなるのが「夢」と語ってくださったよ。
エネミラさんが関わって設置している市民共同発電所について、詳しくはエネミラさんのウェブサイト別ウィンドウで開くからチェックしてね。
あなたのお近くにもあるかもしれないね!
エネミラのみなさん、ありがとうございました。
次はどちらの法人におじゃましようかなぁ。